特集
こっそり教えちゃいます
女子がスープまで飲み干せる 絶品おすすめ徳島ラーメン
ご当地ラーメンとして全国的に認知度の高まってきた徳島ラーメン。
県外の人に有名なのは、濃い茶色のスープに甘辛い豚バラ肉が乗っていて、生玉子をからめて食べる「すき焼き」のようなラーメン。これを徳島県民は“茶系”と言います。
ただ、スープにうるさい私が友達に教えたいのは、茶系だけじゃない!戦後間もない頃から県民に愛されてきた、徳島ラーメンのルーツとも言える乳白色のスープ。季節によって変わる自然素材や日々の天候を見ながら、店主が絶妙のバランスで作り出す絶品豚骨スープ。このスープを知らずして徳島ラーメンを食べたと言って良いだろうか?(いや、ダメだ!)
今回は、観光雑誌やネットランキングにはあんまり載ってないけど、“美味しいラーメンのためならどこへでも!”の私が厳選した4店をご紹介します。女性でもファミリーでも行きやすいお店が増えてますので要チェックです!
文・藤井園苗(タクシードライバー)
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まずは代表的な茶系徳島ラーメンを喰らう
中華そば 真心(MAGOKORO)
県外の人が「徳島に行ったら、徳島ラーメンを食べよう!」と思い浮かべるのが、この濃い茶色のスープに豚バラ肉、そして生玉子のトッピングですよね。徳島市周辺を中心にメディアによく出る有名店は数多ありますが、週末や連休は大行列。ここは一つ、ちょっと足を伸ばして「地元民が通う隠れた名店」を紹介しましょう。
1軒目は阿波市にある「中華そば 真心(MAGOKORO)」です。
真心はオープンして2年目の新しいお店。代表の石田さんは、徳島ラーメンが大好きで県内のお店をほとんど食べ歩いたという強者です。
石田さん「初めはお客さんの意見を聞いたりもしたけど、結局は自分の好きな味になりました。最後まで飲んでもらえるスープを作りたかったんでね」
まずはスープを一口。確かにスープが旨い。茶系の徳島ラーメンの中には「とにかく味が濃い。最初は美味しいんだけど途中で飽きちゃう」ってお店もあるんですが、このスープは全然そんなことありません。口当たりにはほのかな甘みを感じさせ、ニンニクの香りが食欲をそそる。これは「ああ、ご飯が欲しい!」
石田さん「玉子を絡ませたら、まろやかになるでしょ」
私「うわ!ほんまメチャ合う!」
玉子を崩してスープに混ぜると、またビックリ。「すき焼きのような」と称される茶系の徳島ラーメンに生玉子はつきものなんですが、すき焼きよりも複雑な旨味が詰まったスープと玉子ですからね!合わないわけがないでしょう。興味のある方は、ぜひとも生玉子入りを頼んでみて下さいね。
最近、メディアに取り上げられることが増えてきたそうで、これから人気店になると思うので行くなら今です!
もしグループで行くなら、違う味でもう一杯。スタッフの女性がやみつきになっていると言う「塩キムチ(650円)」。茶系の中華そばにトッピングでニンニクを入れるのもおすすめだそうですよ。
どのラーメンも石田さんが「まごころ込めた一杯」。ぜひ堪能して下さい。
茶系とは対照的 白系徳島ラーメンを知る
可成家(かなりや)
徳島ラーメンのルーツと言われるのが“白系”です。
茶色系ラーメンが、ご飯をいっぱい食べるガテン系のイメージなのに対し、白系はマイルドでスッと体に馴染むイメージ(私の勝手なイメージです)。白系が有名なお店もいろいろあるんですが、今回私が紹介したいのは徳島大学病院(徳島市)の裏にある可成家(かなりや)です。
洋食の料理人だったお父さんと息子さんが、洋食レストランをやめて大好きなラーメン店を始めたそうです。今年で創業21年。
成田さん「うちの白は、コクとまろやかさを追求したんです。ホッとする味にしたくてね」
まんまと思惑にはまっていた私。そう思った女性は私だけではないようで、なんと女性のお客様は4割にものぼり、お一人様も多いそうです。一方男性は替え玉を頼む人が多いのだとか。そこで、食べるのが遅い私は聞きました。
私「替え玉したらスープ冷めてますよね」*最初から(大)頼めば良いのに、という意味で
成田さん「僕は冷めたスープも好きなんですけどね」
よく考えたら失礼な質問だったのですが、新しい気づきがありました。確かに!冷めても美味しい!ほんとクリーミーな冷製スープみたいなんですもの。
成田「味はスープとタレの組み合わせなんですけど、ずっと改良し続けてます。勘とかじゃなくて、ちゃんと根拠を持って変えています」
その結果、今では遠くから足を運ぶ人も多い人気店に。
成田さん親子の飽くなき挑戦によって、ホッとする味は進化し続けているんです。
こちらもグループで行くなら、白系以外にもう一杯。成田さんが二日酔いの時に食べたいと言う「支那そば 香り(中)650円」。最近では採れにくくなった吉野川産すじ青のりが乗っていて、もしかすると今後メニューから消えるかもしれない、香り豊かな至高の一杯。名前が「香り」なことにきっと納得しますよ!今のうちにご賞味あれ。
白系は地域とともにある
ミスター ブー
お店に入ってご主人に「おすすめは何ですか?」と聞くと「とんこつやね!」と即答。
実は別のもの目当てに入ったけど、とんこつらーめんを頼んでみました。そしたら、そのスープを一口すすった瞬間、反射的に口がしゃべっていました。
「うわ!うまっ!」
このスープを一度味わったら誰かに言わずにはいられません。
ミスター ブーのオープンは1989年。でも鳴門市には他にもっと老舗の有名店があるので、ミスター ブーは盲点でした。実は店主の早瀬さん、最初は屋台でラーメン屋を始めたそうです。そこから鳴門の市民に愛されるお店になりました。私もこれを機に、友達にも触れ回りたいと思います。
早瀬さん「調味料って、まぁ言えば味が一定でしょ?けど自然のものはそういかんでね。バラツキあるものでバランスとるんは、自分の舌だけが頼りやね」
早瀬さんがラーメンを作り始めたのは40代。決して早くないスタートです。それから今まで色んなドラマがあったそうですが、私が一番ビックリしたのは、今まで病気で店を休んだことがないってこと。お酒も飲まない「マジメ一徹」。それもこれも、早瀬さんの「お店を開ける」というプロ根性でしょう。
早瀬さん「昔はね、軽自動車を改造してラーメン出してたんですよ。思い切って最新の自動車電話つけてね。農家さんとか漁師さんが忙しい時にね、ご飯作るの大変でしょ。そんな時に呼んでくれてね。庭先とかで食べてもらって」
私「わ~、それすごい助かりますよね。けど、車やめて店にするって言うたら反対されませんでした?」
早瀬「みんなにお店出すって言うたら、出世したな~って喜んでくれてね。店に食べに来てくれましたよ。ここらは、ええ人たちが多いんです」
ミスター ブーは、まさに地域とともに年を重ねるラーメン屋。近所の子供がおじさんになって家族連れでやって来たり、年配の人たちの憩いの場だったり。地元民愛用のお店だから、若い女の子にはハードルが高いと感じるかもしれません。だけど、こんなに優しいのにコクがあってペロッと完食しちゃうラーメン屋、入らなきゃ損だよ!
早瀬さんのもう一つのオススメは「チャンポン麺790円」。とんこつの美味しさに海鮮が加わり旨味が倍増!早瀬さん自身が食べるのは、最近ずっとチャンポン麺なんですって。2017年にできた新メニュー、基本のとんこつと食べ比べてみてね!
徳島ラーメンとは言えない?だけど徳島に来たなら食べて欲しい!
麺屋BASE.TORITON(トリトン)
茶系、白系と紹介してきました、徳島ラーメン。だけど、その枠に収まりきらない注目株が現れました!せっかく遠いところから徳島まで来てくれたラーメンファンに、ぜひとも味わって欲しいお店があります!
それが北島町にある「麺屋BASE.TORITON」。2017年にオープンしたTORITONは、看板メニューが鶏ベースと豚ベースの2種類。だから、店名もTORI(鶏)とTON(豚)。覚えやすいですね。
シンプルに鶏と豚をそれぞれ味わえるラーメンを作りたかったという佐尾山さん。
なんとスープは2日かけて大きい寸胴鍋で3分の1になるまで煮込みます。味付けはほぼ塩(びっくり!)で、化学調味料に頼らないスープを作りたかったそうです。
注文した「鶏赤」は、「鶏base(ノーマル)」に辛ねぎが入るメニューです。先ずはスープを一口。鶏だけなのにナニ?この深い奥行き。鶏の旨味をギューっと濃縮させました!っていう感じ。その上、鶏チャーシューがまた美味い!すんごいしっとりで、味がしっかり染みています。低温調理するとこうなるそうですが、感動しました。
鶏の旨味を十分に味わったら、辛ねぎを混ぜていざ味変!一気に混ぜないで少しずつ混ぜていくとスープの旨味がいっそう引き立ちます。この辛ねぎにハマってリピートするお客様も多いそう。確かに、某CMのように「有ると無いじゃ、大違いだよ!」って言いたくなります。
TORITONに来たからには鶏だけで帰るわけにはいきません。
この日は相棒がいたので「豚黒」を注文してもらいました。
「豚黒」には黒マー油(焦がしにんにくねぎ油)ねぎが入ります。佐尾山さんは「クセがあって好き嫌いが分かれます」と言っていましたが、私には全然OK。鶏赤と同じく「黒マー油ねぎはあった方が良い!」と断言します。「豚黒」でビックリするのは、そのチャーシュー。とろけすぎて箸でつかめないくらい。食べたら自分も溶けちゃいそう。
TORITONは、とにかくラーメンも内装も、何を撮っても“映える”。だからというわけじゃないけど、女子率が半分くらいなんですって。そして、県外ナンバーの車も結構いるみたいで、やっぱりラーメン通のアンテナにはひっかかるんですね。オープン当初に比べれば、今は落ち着いたそうですが、やっぱりランチ時間は駐車場がすぐいっぱいになるそうなので、できれば12時~14時は外していった方が良さそうです。手間暇かけた究極の鶏と豚。他では味わえない一杯を大事に頂きましょう。
代表的な茶系から変わり種まで、今回は私が自信を持ってオススメする4店を紹介しました。
もちろん、他にもおすすめしたいお店はたくさんあります。なんせ、徳島では県内のラーメンだけを集めたブ厚い雑誌が発売されるくらい、県民はラーメンを愛しています。せっかく徳島に来るなら、1食はラーメンにしてみてくださいね。
幸せな1杯に巡り会えますように。
*雑誌「徳島ラーメン超本」が気になる人は、徳島県内の本屋には必ずあるのでチェックしてみて下さい。
Information
中華そば 真心(MAGOKORO)
徳島県阿波市吉野町柿原字原224-2
080-3118-5806
定休日 毎週火曜
*他のサイトでは水曜定休になっていますが、こちらが2019年1月現在の最新情報です。
平日 11:00~14:00、17:30~20:00
金・土 11:00~14:00、18:00~23:00
日・祝 11:00~14:00
*売切れ次第終了
駐車場30台 席数24席
可成家
徳島県徳島市南庄町1丁目27番地
088-631-4158
定休日 毎週水曜
水曜以外 11:00~22:00(LO 21:45)
*売切れ次第終了
駐車場14台 席数41席(内、個室10席)
ミスター ブー
徳島県鳴門市撫養町斎田字浜端北153
088-686-2818
不定休 *ほぼ毎日やってます
12:00~14:30、17:00~23:30
駐車場2台 (空き店舗前にも停めて良い) 席数18席
麺屋 BASE.TORITON
徳島県板野郡北島町鯛浜字原157-5
088-676-3999
定休日 毎週月曜
火~金 11:00~14:30、18:00~23:00
土 11:00~15:00、18:00~24:00
日 11:00~15:00、18:00~22:00
*営業時間が細かく変わっています!気をつけて!
駐車場8台 席数32席
TEXT 藤井園苗
徳島県出身。子どもの頃からラーメン大好き。航空自衛隊で全国を転勤するのをいいことに、各地のラーメンを食べ歩く。徳島に帰省してからは、子どもの頃にできなかった県内のラーメン食べ歩きを満喫。お一人様ラーメンなんて当たり前。一番悲しいのは、高校生の時に食べて感動した透き通った醤油ラーメンが閉店して食べれなくなったこと。