特集
地域の人の健康と伝統産業を守る。鳴門発のトレーニング足袋「ナルトレタビ」
今年7月、徳島県鳴門市から新しい商品が発売されました。
その名も「ナルトレタビ」!
屋内用トレーニングに活用できる足袋という画期的なアイテムには、子どもから高齢者まで幅広い世代の健康づくりに役立てるとともに、地場産業の振興につなげるという目的も詰まっているのです。
鳴門市の足袋の歴史、「ナルトレタビ」の取り組みについてお話を聞きました。
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鳴門市は埼玉県行田市、岡山県倉敷市にならび、日本の足袋の三大産地のひとつにも数えられています。
その歴史は約200年にものぼります。
塩業が盛んだった鳴門では多くの男性が塩田で働き、女性は縫物や機織りなどの手仕事で生活を支えていました。
鳴門で生産された織物は、そのほとんどが足袋づくりに使われていたそうです。
昭和11年には22軒の足袋製造業者がありましたが、太平洋戦争後には4軒に。
戦後は生産高も少しずつ回復し、何度も苦難を乗り越えながら鳴門の足袋は発展し、今に受け継がれてきました。
そんな歴史を持つ鳴門市でこの夏誕生したのが「ナルトレタビ」です。
足は身体の基礎となる部分です。
足裏全体でしっかりと身体を支えることで、正しい姿勢と安定した体幹を手に入れることができると言われています。
しかし、最近では多くの人の足の機能が退化していると言われています。
扁平足や外反母趾など足に関する悩みを持つ人も増えています。また、足指が地面に設置していない浮指(うきゆび)という症状の子どもたちも多いようで、浮指になると体のバランスを崩し、転びやすくなってしまうんだそうです。
これらの症状を抱えていると、身体全体の姿勢やバランスの悪化を招き、肩こりや運動能力の低下などの原因にもなってしまいます。
さらに最近では新型コロナウイルスの感染拡大により「リモートワークで一日中座りっぱなしの状態が続く」「ジム通いができなくなった」など運動不足に陥ってしまう人が増えてきました。
「正しい姿勢と安定した体幹を手に入れたい」。そんな悩みを解消すべく開発・誕生したのが「ナルトレタビ」なんです。
こちらが「ナルトレタビ」。デニム素材のオシャレな足袋です。
足袋を履くと足指で地面を掴みながら歩くため、足の指や足裏の筋力を鍛える効果が得られると言われています。
その足袋の効果を高めるために工夫を加えたのがインソール。
アーチ型で理想的な土踏まずの形成をサポートしてくれると同時に、足の先端部分がカットされているので、足の指で地面をしっかりと咬む感覚を養いながら、正しい働きを促してくれるのです。
歩くたびに地面をつかむなど、足指の筋肉や体幹強化などの健康効果が見込めることで、大きなケガを防ぎ、運動機能を高めてくれるので子どもの身体づくりはもちろん、高齢者の健康増進、さらにはアスリートの運動能力向上にも効果が得られる足袋なんです!
「足袋を履くだけで本当に効果があるの?」と思った人はこの結果をご覧ください。
効果を検証するため、小中学生、40歳前後、60歳前後の人を対象に、4週間「ナルトレタビ」を履いて簡単なトレーニングを取り入れつつ生活してもらった結果です。
どの年代にも外反母趾や浮指、踵骨角度の改善や重心の安定性が増すなどの効果があらわれたそうです!
この足袋の開発には、2018年4月から鳴門市まちづくりアドバイザーに就任し、体幹トレーニングの第一人者であるプロトレーナー・木場克己さんが企画段階から携わっています。
柔道整復師・鍼灸師・健康運動指導士・日本スポーツ協会アスレティックトレーナー・慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員である木場克己さん。
体幹トレーニング第一人者としてKOBA☆トレを確立し、サッカー水泳、陸上他あらゆる競技の名だたるトップアスリートのトレーナーのほか、back number等の有名アーティストのサポートも務めている方です。
新しい生活様式に対応した自宅での効果的なトレーニングを普及するという目的のもと、屋内でスリッパ感覚で使いながらトレーニングをしたりジムでのエクササイズに使ったり。屋内で過ごすあらゆるシーンで活躍するアイテムとして誕生した「ナルトレタビ」。
実は市民の健康づくりの推進やスポーツ振興を目指すのと同時に、鳴門の地場産業の振興にも役立てる狙いがあるのです。
新型コロナウイルス感染症の影響により、足袋の出番となる全国の祭りや冠婚葬祭などのイベントが次々と中止になり、足袋製造業界も苦境に立たされることになりました。
そこで鳴門市は足袋の新たな商品開発・販路拡大も目的のひとつにしてスポーツ足袋の開発をすすめてきました。
運動不足の人が多い昨今、現代人の健康増進と苦境に立たされた鳴門の足袋産業を救うべく、開発に至ったというわけなんです。
プロトレーナー、そして鳴門の足袋会社。鳴門市とゆかりのあるメンバーで進めてきたプロジェクトによってこの足袋が完成したのです。
7月からプロトタイプモデルが先着100足で発売されましたが、地域の年配の人やアスリート、さらには県外の人からの問い合わせもあるんだそうです。
近いうちに一般販売やネット販売を始め、ふるさと納税の返礼品にも加える方針だそうです。
現在、スポーツによる地域活性化を目指し国をあげての取り組みが各地で行われています。
その中でも先進的な取り組みといえる「ナルトレタビ」。
鳴門市の産業、そして現代人の健康的なライフスタイルを支えるアイテムとして活躍しそうです。
NARUTOスポーツコミッション(鳴門市スポーツ課)
徳島県鳴門市撫養町南浜字東浜170
TEL.088-684-1300
P/あり
HP/https://www.city.naruto.tokushima.jp/docs/2021070600059/