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徳島まるづかみ!徳島県立博物館リニューアル
自然(動物・植物・地学)と人文(考古・歴史・民俗・美術工芸)の7分野をあわせもつ総合博物館『徳島県立博物館』の常設展示が全面リニューアルしました!
『徳島県文化の森総合公園』の文化施設のひとつとして1990年に開館し、以来徳島県民に愛されています。
昨年8月末から1年をかけて改装した展示スペースをじっくり取材してきました。
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“藍”の町ならではの逸品 藍色に染められた「勝瑞城の御城印」
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新しくなった常設展示のテーマは「徳島まるづかみ!―“いのち”と“とき”のモノ語り―」。内容としての大きな特徴は4つあります。
1つ目が「実物資料との出会い」。最新の研究結果をふまえた、徳島の自然・歴史・文化など魅力や特色をつかめるような空間になっています。
2つ目が「先端技術を活用した体験」。AR、VRなど高精細映像を活用した体験型展示を取り入れています。
3つ目が「誰でも楽しめる場所」。多言語解説や音声・手話解説といった、多機能解説設備を用いて、誰もが快適に利用できる工夫を散りばめています。
4つ目が「地域の交流拠点」。レファレンス(調べもの相談)機能の充実や、県民の調査研究成果の発信を通して、県民とのつながりを大切にする展示にしています。
ポイントにも注目しながら、まずは展示スペースを見ていきましょう!
まずは藍色がベースになったロビーゾーン。
徳島にまつわるあらゆるものが来館者をお迎えしてくれます。
竹ちくわやぼうぜ姿寿司など郷土料理に…
国の重要無形民俗文化財にも指定されている徳島県の伝統芸能・阿波人形浄瑠璃。
そして徳島に生息している昆虫などの生き物も!
数々の「メイドイン徳島」を眺めていると、なにやら視線を感じます。ふと見上げると…
あっ!でっかい恐竜がこっちを見ている!
まずチェックしてほしいのが、ロビー横にある徳島セクション1「徳島恐竜コレクション」。
羽ノ浦丘陵や勝浦町盆地周辺の地層からは、恐竜をはじめさまざまな動植物の化石が産出しており、特に勝浦町では四国で初めて恐竜の化石が発見されたこともあり、県内はもちろん全国から注目を集めています。
上からのぞいていたのは白亜紀前期にアフリカに生息していたと言われるマラウィサウルス。ほか、植物食恐竜の一種、プロバクトロサウルスなど迫力満点の骨格標本がそろっています。
そして、勝浦町で発掘された鳥脚類イグアノドン類の歯や、竜脚類ティタノサウルス形類の歯なども展示されていて「ほんとに徳島に恐竜がいたんだ!」とロマンを感じられるはずです。
ここでユニークな仕掛けが!
専用アプリ「遊山ナビ」を入れたスマホやタブレット端末(タブレット端末はレンタルも可能)を用意します。
展示スペースにあるこの看板のマーカーに端末をかざしてみると…
モニターの中で恐竜が動き出しました!!!
このように動くAR恐竜の出現を楽しめるのも、新しい取り組みのひとつ。
子どもはもちろん、大人も楽しめますよ。
奥には徳島セクション2「地質時代の徳島」があり、ナウマンゾウの歯の化石やアンモナイトや貝、樹木などの化石が展示されています。
「さわってみよう」などのコーナーがあちこちにあり、ただ見るだけでなく触れる体験ができるのも特徴になっています。
また施設には「インクルーシブデザイン」を導入し、車イスでも見やすいつくりとなっていたり、専用アプリで手話解説を見ることができたりなど、誰でも楽しめるような施設へと進化しています。
奥にすすむと徳島セクション3「先史・古代の徳島」に。
ゾーンの入り口でひときわ存在感を放つのは、阿南市山口町で発見された銅鐸「伝長者ヶ原1号銅鐸」。ほぼ完全な形で残っているものは非常に珍しいそうです。
赤色顔料には貴重な「水銀朱」が使われている「朱塗りの銅鐸」だそうです。
ほか、細長いガラスケースには土器や埴輪など複製も含めて約20点が収められています。リニューアル以前より、間近で細部をじっくり見られるように展示を工夫したんだそうです。
こちらは徳島セクション4「中世の徳島」。
中世阿波に特徴的な仏教文化の遺産である「板碑(いたび)」。
こちらも以前から展示していましたが、
地面の下にどう埋まっているかなどが分かるようにしているんです。
「しっかり埋まるように先がとがっているんだ!」など新しい気づきが生まれるのもリニューアルならでは。
また、資料保存上、期間限定でしかお目見えしなかった日本刀も、専用の展示ケースとともに常設展示に加わりました。
刀鍛冶の命が吹き込まれた輝き、背筋が伸びる思いです!
このゾーンにも面白い仕掛けがあります。
阿波出身の戦国武将で、一時は畿内とその周辺、四国東部を支配して三好氏の全盛期を築いた三好長慶。その足跡を感じられるスポットです。
ここには…
三好長慶を好きな色に彩れるデジタルぬり絵があるんです!
兜や鎧を好きな色に塗っていきましょう。
完成したものはスマホなどで保存できるほか、自分の顔を入れてこちらのスペースで展示してもらうこともできます。とっても楽しい!
徳島県指定有形文化財の「十一面観音菩薩立像」。
徳島セクション7「徳島のまつりと芸能」では、能楽に起源を持つ儀式の舞「阿波の三番叟まわし」の木偶など、徳島の伝統・文化・芸能についての学びを深めることもできます。
そして次は徳島セクション8「徳島の自然とくらし」。
こちらの展示は、吉野川をはじめ、那賀川や海部川などたくさんの川が流れる徳島県ならではの生き物や植物について。
施設内に大きな森が!
ここは山の生き物の展示。徳島県の大部分は森林で占められていて、そこで暮らす動物や昆虫、植物について知ることができます。
なんと徳島はカタツムリ王国だった!?
日本最大のカタツムリ「アワマイマイ」など、多種多様なカタツムリが生息しているんですって。徳島県の新しい一面を知ることができました。
山地に住むセミの鳴き声を聞き比べることもできます。
お次は地球セクションへ。まずは「地球と生命の歴史」。
思わず「わあ!」と声をあげてしまいそうなほど迫力満点のティラノサウルスが待ち構えています。
思わず「わあ!」と声をあげてしまいそうなほど迫力満点のティラノサウルスが待ち構えています。
実物の恐竜の骨化石に触ることも!
こちらは「生物の多様性」。
現在の地球には多様な生物が存在していることを、膨大な数の標本を見ながら感じられます。
生物の多様性が多く恵みをもたらしていることなども、子どもたちに目で見て学んでもらうことができます。
これらの展示室はルートに従って進む必要があるわけでなく見たいもの・興味があるものを向けて自由に進んでいくことができます。
「今日はじっくり恐竜を見る!」「まずは徳島の文化から見てみよう」など、自分のオリジナルルートを作って楽しんでみてもいいかもしれません。
こちらのスペースは地域の交流拠点。レファレンス(調べもの相談)機能が充実していて、気になった展示についての資料を読んだりできます。
いずれここで学芸員による講座などイベントを実施するそうです。
いかがですか?
これまで通っていた人は「こんな風に変わったんだ!」という驚きがあり、初めて訪れる人は「徳島にこんなものがあるの?!」という発見がある博物館になっています。
「徳島の自然や歴史を見て、触れて、感じられる“情報の百貨店”にぜひお越しください」と新居館長。
WEBでの入場予約も可能なので、そちらも利用してみてくださいね。。
徳島県民、そして県外の人も「徳島ってすごい!」と感じられるものがたくさんある徳島県立博物館へぜひ足を運んでみてください!
徳島県立博物館
徳島県徳島市八万町向寺山
TEL.088-668-3636
営/9:30~17:00
休/月曜(祝日・振替休日の場合は開館、翌日休)、年末年始
P/430台
観覧料/一般400円、高校・大学生200円、小・中学生100円
HP https://museum.bunmori.tokushima.jp/default.htm