特集

日本のくらしをまあるく支える
「岡田製樽」の道具

日本のくらしをまあるく支える
「岡田製樽」の道具

昔から使われている道具。
独特の味わいと良さが感じられるのはもちろん、これまで蓄えられてきた知恵やヒントがたくさん盛り込まれています。
木でできたおひつや風呂桶もそのひとつ。
プラスチック製品や炊飯器の登場であまり見かけなくはなりましたが、おうちじかんが増え、毎日のくらしをより豊かに、丁寧にしたいという人が増えた今、その魅力が再び脚光を浴びています。
機能性・実用性が高く、生活を風情あふれるものにしてくれる木の製品を作り続けている『岡田製樽』さんに、木の道具の良さをお聞きしました。

★☆ その他のおすすめ記事はこちら ↓ ↓ ↓
手から伝わる木のぬくもり『テーブル工房kiki』が生み出す癒しの時間
https://www.east-tokushima.jp/feature/detail.php?id=143
徳島の職人たちだから生み出せた 高度な技術の集大成「舞工房」
https://www.east-tokushima.jp/feature/detail.php?id=141

アート・工芸 伝統・文化 歴史


例えば、ごはんをふっくらやさしく保温するおひつ。
ハレの日に家族で囲むちらし寿司、赤飯を入れる寿司桶。
お風呂に入る前にザバンと体にお湯をかける風呂桶。
木でできたこれらの製品は、昔から受け継がれてきた“くらし”に寄り添い、日々のしあわせを静かに育んできました。
おいしさや豊かさをぐんと引っ張り上げてくれるものを、ひとつずつ職人の手で丁寧に作り上げてきたのが石井町『岡田製樽』です。

おひつや湯桶、飯台、さらにはワインクーラーまでさまざまな「まるい木製品」を製造しています。

『岡田製樽』が創業したのは1948年。
代表・岡田功さんの父が戦時中に働いた造船所で習得した刃物使いを、戦後近所の桶屋さんを手伝うことで生かしながら、桶づくりの技を身に付け独立したのがはじまりです。
独立当初は漬物樽、奈良漬けの樽などをメインに作っていたそうですが、農作物の出来に左右されることから、当時は各家庭でまだ必需品とされていたおひつや寿司飯台などを新たに製造するようになったそうです。作れば作るだけ売れていた時代があったものの、安価な海外製品の台頭による価格競争や、日本人の生活スタイルの変化などから段々と売上は減少。
そこで功さんは、7年ほど前に卸売りの他に、現代のモダンな食卓にも合うようなオリジナルの商品を作り自分たちの手で販路を広げ、広報も手掛けることをはじめます。

神経を使いながら黙々と繊細な仕上げ作業を功さんがする一方で、奥様の美早さんがおひつや飯台のある日常の食卓を発信しています。

そんな製品が生まれる工場にお邪魔しました。

 ▲木の香りに包まれる作業場。たくさんの道具や機械、製造途中の製品が並んでいます。
▲木の香りに包まれる作業場。たくさんの道具や機械、製造途中の製品が並んでいます。

作業場の中では職人さんたちがそれぞれの工程ごとに分かれて手桶や樽、飯台などさまざまな商品を作り上げていました。

 ▲ぴしっときれいに決められたサイズに合わせられた木材が次の工程を待っています。こちらは飯台底板になります。
▲ぴしっときれいに決められたサイズに合わせられた木材が次の工程を待っています。こちらは飯台底板になります。
 ▲きれいな円形に仕上がるように、木材が斜めに削られています。
▲きれいな円形に仕上がるように、木材が斜めに削られています。
 ▲仮のタガに沿って接着剤をつけた木材をならべていきます。
▲仮のタガに沿って接着剤をつけた木材をならべていきます。
 ▲仮タガにきっちりはまるように整えていきます。
▲仮タガにきっちりはまるように整えていきます。
 ▲側材の接着を強度にするため、上の仮タガを機械の圧力を借りて真ん中まで下していきます。
▲側材の接着を強度にするため、上の仮タガを機械の圧力を借りて真ん中まで下していきます。
 ▲みるみるうちに見慣れた桶の姿に近づいてきました。飯台側材組み立ての完成です!
▲みるみるうちに見慣れた桶の姿に近づいてきました。飯台側材組み立ての完成です!
 ▲仮タガをはずして、なめらかに研磨して仕上げていきます
▲仮タガをはずして、なめらかに研磨して仕上げていきます

サンドペーパーを使い、片手で角度を微妙に調整しながら研磨していきます。木がけずれる音が響き渡る中、真剣なまなざしで製品を磨き上げていく姿。まさに職人です。

ふと床を見ると、数字とともにたくさんのタガがならんでいます。
同じ直径の商品でも、削り具合によってサイズが微妙に違ってくることから、全く同じサイズのタガがぴったり当てはまるわけではないそうです。そのため1ミリのサイズ違いのタガを20種類ほど用意し、この中から職人さんが、ひとつひとつの桶にあったタガを探し、入れていきます。この見分けるスピードたるやかなりの速さ。この感覚が職人技の一つだそうです。

 ▲銅タガをミリ単位違いの長さで切断中。
▲銅タガをミリ単位違いの長さで切断中。
 ▲銀ロウで銅タガを丸く溶接。
▲銀ロウで銅タガを丸く溶接。
 ▲今回の銅タガは方手桶にはめ込むものでした。
▲今回の銅タガは方手桶にはめ込むものでした。
 ▲木槌でしっかりとタガを固定した後は、底板を入れていきます。
▲木槌でしっかりとタガを固定した後は、底板を入れていきます。
 ▲底板は丸鋸盤を使って丸くカット。
▲底板は丸鋸盤を使って丸くカット。
 ▲片手桶のできあがり。
▲片手桶のできあがり。
 ▲使い込まれた道具たち。
▲使い込まれた道具たち。
 ▲あうんの呼吸で、職人さんたちが製品を仕上げていきます。
▲あうんの呼吸で、職人さんたちが製品を仕上げていきます。

どの作業にも手加減が必要で、機械はあくまでサポート役なんだと改めて思いました。

製品に使用しているのは、「国有木曽サワラ材」。

サワラはヒノキの一種ですが、香りがヒノキのように強くないために、ごはんの香りや味を邪魔しない木材として『岡田製樽』が徳島で初めて使うようになったそうです。
また柔らかさと軽さを併せ持ち、水や酢にも強く抗菌力にも優れているのだそうです。
価格が高騰しようともこの木材にこだわるのは、『岡田製樽』のポリシー。

安価な木材を代用することが多くなっている今でも、「木材には適材適所があると思うんです。おひつや寿司飯台を作るのに一番あった木材がサワラ材だったんで、そこにはこだわっていきたいんですよ」と岡田さん。

職人が丹精こめて作り上げた木製品は、オンラインストアでのオーダーが可能です。
全国各地から30、40代の人からの注文が増えているそうです。

奥様の美早さんを中心にアンバサダーさんたちがホームページやSNSでアップしている商品の使用例は、おうち時間をより楽しいものにしたいという人の心に響いているようです。

 ▲現在生活に馴染むようふんわり柔らかいデザインで人気の「結」シリーズの飯台セット。「一目惚れしました、と購入していただくこともあるんです」と岡田さん。
▲現在生活に馴染むようふんわり柔らかいデザインで人気の「結」シリーズの飯台セット。「一目惚れしました、と購入していただくこともあるんです」と岡田さん。
 ▲丸みをおびたふたは、プレートとして使うことも。このやさしいニュアンスを出すために、仕上げには細心の注意をはらっているそうです。
▲丸みをおびたふたは、プレートとして使うことも。このやさしいニュアンスを出すために、仕上げには細心の注意をはらっているそうです。

「昔は近所に桶屋さんがあって、家で使っている桶が壊れたら修理してもらいながら大事に使ってきました。今ではその桶屋さんもなくなり、木製品のことやお手入れのことを知っている人はどんどん少なくなってきています。せっかくうちの商品を買ってもらったならできるだけきれいな状態で長く使ってほしいと思っています」。

そこで岡田さん夫婦が考えたのが「お手入れセット」です。

シュロのたわしやサンドペーパーなどをまとめたもので、日々のお手入れに使えたり黒ずみを出してしまった場合でもすぐに自分で削り取る対応ができるスグレモノです。

「木製品はやはりお手入れには少し手間がかかってしまうものではあります。きれいに洗った後はきっちりと乾かしてあげる。湿度の影響をあまり受けない場所で保管してあげる。
〝岡田さんの製品を使っていると、生活が丁寧になりました。その丁寧な生活を楽しんでいる自分がいるのにびっくりしました。〟とおっしゃっていただいたことがあります。楽しんで手間をかけてくださる方がいるって、うれしかったですね。使い続けていると、木の桶は段々と傷んでもきますが、それを愛着に変えていただければ嬉しいです。長く使っていただくために、有償にはなりますが、お直しなどのメンテナンスもさせていただいていますので、ぜひご利用いただきたいです。お直ししながらでも一生使っていきたいと思っていただける商品を作っていきたいです。」

 ▲二代目の岡田功さん。「新商品の開発はもちろん、木製品の未来の担い手を育てていきたいです」。
▲二代目の岡田功さん。「新商品の開発はもちろん、木製品の未来の担い手を育てていきたいです」。

一人用のおひつをキャンプにおにぎりを入れて持っていったり、飯盒で炊いたごはんを移し替えたりして使うなど、新たな視点で『岡田製樽』の木製品を生活に取り入れている人も増えているようです。

毎日にささやかなよろこびと、おいしさを。
これからをともに過ごす道具を、選んでみてはいかがでしょうか?

『岡田製樽』体験の紹介はコチラ
https://activityjapan.com/publish/plan/36449

「食」&「技」PR動画はコチラ ※音が出ます
Taste the Local Food
https://youtu.be/uw6peGrx4b0

Creation the Original Product
https://youtu.be/nP4vw5Zma3o

東部圏域の魅力的な、「食」&「技」感動体験が詰まったパンフレットのダウンロードはコチラ
https://www.east-tokushima.jp/brochure/