特集
「第九」アジア初演の歴史とともに...
ドイツゆかりの地めぐり
ドイツと深い縁がある徳島県鳴門市大麻町。その縁は大正時代にさかのぼります。
当時は、世界の多くの国々を巻き込んだ人類史上初の大戦争“第一次世界大戦”の真っただ中…。
この戦いでドイツは日本に敗れ、多くのドイツ兵が捕虜となり、この地にあった『板東俘虜収容所(ばんどうふりょしゅうようしょ)』へ移送さました。
捕虜とはいえど、『板東俘虜収容所』での彼らの暮らしは自由で、文化・芸術活動が活発だったのだそう。
さらに収容所近辺に住んでいた日本人との交流も盛んで、大変仲も良かったのだとか。
松平健が主演を務め、2006年に公開された映画[バルトの楽園]は、『板東俘虜収容所』を題材にしており、この鳴門市がロケ地になりました。
今回は、そんな鳴門市にあるドイツゆかりの場所をご案内します。
※写真提供:鳴門市ドイツ館
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ドイツとの友好の証
鳴門市ドイツ館
『鳴門市ドイツ館』は、鳴門市の板東俘虜収容所で生活をしたドイツ兵と、地元(板東地区)の人々との交流を後世に伝えるための記念館です。
館内では、当時の板東俘虜収容所がどのようなものであったか、ドイツ人捕虜兵がどのような暮らしをしていたのかなどの展示がされています。
当時の写真をもとに作られた収容所の模型もあります。
ひとつの街として成立しており、所内にはレストランや印刷所、図書館、音楽堂、公園、さらには商店街まであったようです。
当時彼らが住んでいた部屋などを再現したものも。
食卓にはトンカツやパン、チーズ、ビールなどドイツグルメが並び、本来囚われの身のはずですが、なかなか楽しそうですね。
また、彼らは収容所内で音楽団を結成しており、日本人を招いて演奏会を行っていました。そのとき演奏したのがベートーヴェンの『交響曲第九番』。
なんとこれが、『交響曲第九番』がアジアで初めて演奏された瞬間だったのです。
「第九シアター」ではドイツ兵の等身大人形が演奏を聴かせてくれますよ。
『ドイツ館』の1階には、ドイツビールやドイツのお菓子などの販売所があります。
音符をモチーフにした、かわいい雑貨もあるのでチェックしてみてください。
冬には、イルミネーションやクリスマスマーケットも開催していますよ。
鳴門市ドイツ館
住所/徳島県鳴門市大麻町桧字東山田55-2
TEL/088-689-0099
営/9:30~17:00(最終入館16:30)
休/第4月曜(祝日の場合は翌日)、12月28日〜12月31日
料/大人400円、小・中学生100円
http://doitsukan.com
鳴門土産やドイツグルメも充実
道の駅 第九の里
ドイツ館のとなりにある『道の駅 第九の里』。
国登録有形文化財の板東俘虜収容所の兵舎(バラッケ)の一部を移築して建てられた物産館です。
鳴門の旬の野菜や果物、特産品が購入できます。
軽食コーナーもあり、ぜひ食べてほしいのが[第九ホットドック]。
ベートーヴェン「第九」アジア初演100周年を記念して誕生した「第九グルメ」のひとつで、ライ麦パンに20センチ以上あるドイツ製法ソーセージをサンドしています。
白いソーセージ・チューリンガーヴルストは、ハーブが香るスパイシーで上品な味わい。
ケチャップ、マスタード、黒ゴマソースと、ソースは3色のドイツカラー♪
ここだけでしか食べられないオリジナル商品です!
道の駅 第九の里
住所/徳島県鳴門市大麻町桧字東山田53
TEL/088-689-1119
営/9:30~17:00
休/第4月曜(祝日の場合は翌日)、12月28日〜12月31日
日独友好と恒久平和のシンボル
ばんどうの鐘
昭和58(1983)年に日独友好と恒久平和を願い、標高120mの丸山山頂に建設された『ばんどうの鐘』。
『鳴門市ドイツ館』前広場にあるベートーベンの像の後ろから、691段の階段を上がったところにあります。
塔までは、ゆっくり歩いて20分程度。
ゆるやかな坂と控えめな高低差の階段が続き、トレッキングに慣れていない人でもテンポ良く登ることができますよ。
頂上には徳島平野から紀伊水道までを一望でき、爽快な風景が広がります。
当時に思いをはせながら散策を♪
ドイツ村公園
『ドイツ村公園』は、かつての板東俘虜収容所跡地です。
一部には収容所の築かれた当時のレンガが残されており、公園入口には当時の雰囲気を再現した門もあります。
また、板東で亡くなったドイツ兵を弔うために兵士たち自身が建設した”ドイツ兵慰霊碑”も。隣には全国で亡くなったドイツ兵を弔う合同慰霊碑もありますよ。
大麻比古神社の境内に残る
ドイツ兵が築いた美しい橋
徳島県の総鎮守として知られる阿波国一之宮・大麻比古神社(おおあさひこじんじゃ)。
境内には、「ドイツ橋」「めがね橋」のふたつの橋が存在します。
境内を流れる板東谷川に架かるのが「ドイツ橋」です。
徳島県の文化財指定史跡にもなっています。
そしてもう一つが、境内に池を掘って架けられた「めがね橋」というふたつ橋です。
どちらの橋も、板東俘虜収容所で生活したドイツ兵たちによって当時造られたものであり、アーチを描く堅固な石積みは、機能的にも芸術的にも美しい。
橋まで行く道中、野生のサルと出会うかもしれないので要注意を!
大麻比古神社(ドイツ橋・めがね橋)
住所/徳島県鳴門市大麻町板東広塚13
TEL/088-689-1212
味を守り貫いた老舗ベーカリー
ドイツ軒
ドイツ収容兵からドイツパン作りを教わった藤田只ノ助に、弟子入りした初代店主の祖父から暖簾分けを許され、現在のお店を開業した老舗のパン屋さん。
大正8年に創業した本店は空襲でなくなってしまったため、現在ここドイツ軒のみにその味が受け継がれています。
店内には、昔からの味を大事に守っている菓子パンや、日本人向けに工夫をしているドイツパンなどが並んでいます。
ぜひ、ドイツゆかりの地をめぐった後に、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
ドイツ軒
住所/徳島県鳴門市撫養町南浜字東浜674
TEL/088-686-3698
営/9:00~19:00
休/日曜日