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夏の訪れを告げる美味。
徳島の「鮎」を食す。

夏の訪れを告げる美味。
徳島の「鮎」を食す。

新緑が香る季節になると、川を遡上してくるのが鮎です。
清流の女王とも呼ばれる鮎は、夏の風物詩の一つ。
1年のうちの限られた期間しか楽しめないからこそ、この季節を待ちわびる人もたくさんいます。

徳島には希少な鮎が楽しめるお店があり、
日本全国から鮎を目当てに訪れる人も多いそうです。

爽やかな香りと苦みが特徴の香魚・鮎を長年提供しているお店に、徳島の鮎の歴史や特徴、絶品料理まで詳しく教えてもらいました。

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初夏を告げる味、徳島の鮎を味わい尽くす

川の岩底に生えた苔を食べて育つ魚で、透き通るほど美しい清流に遡上する鮎は「清涼感のあるスイカの香り」と表現されるほど特有の香りが特徴で「香魚(こうぎょ)」とも呼ばれます。

6月、徳島県内の主な河川でも鮎漁が解禁されました。
解禁当日から、この日を待ちわびた釣り客が朝早くから友釣りなどを楽しむ姿が見られました。
全国でも名だたる鮎の産地として知られる徳島県。
その鮎の特徴を聞くため訪れたのは、徳島市勝占町の『ゆたか屋』さん。
創業140年を誇る老舗の料亭です。

 ▲地元の常連から県外客まで、終日賑わいをみせるお店です。
▲地元の常連から県外客まで、終日賑わいをみせるお店です。
 ▲『ゆたか屋』5代目大将の原啓介さん。「鮎を見ただけでどこの川で獲れた鮎かわかりますよ。形や顔つき、色が少しずつ違うんです」。
▲『ゆたか屋』5代目大将の原啓介さん。「鮎を見ただけでどこの川で獲れた鮎かわかりますよ。形や顔つき、色が少しずつ違うんです」。

鮎は古くは『古事記』などにも登場し、日本とのつながりが深い魚としても知られています。
鮎はきれいなせせらぎの中でしか泳がないことでも知られ、川の美しさが味や成長が直結します。
徳島にはそんな鮎が育つのにふさわしい水質がよく美しい川がたくさんあります。

「高知県で全国の鮎を集めてその味を競う会が開かれていますが、昨年準グランプリを獲得したほど徳島の鮎は評価されているんですよ」と原さん。
だからこそ、この時期にお店を訪れる県外客も多いんだそうです。

 ▲勝浦川での鮎釣りの様子(写真提供/勝浦町役場)
▲勝浦川での鮎釣りの様子(写真提供/勝浦町役場)

『ゆたか屋』さんでは創業時から鮎を扱っていたそうです。
以前はお店の前を流れる川など、あちこちで気軽に獲れていた鮎も、いつしか収穫量が減り貴重な魚になりました。
「今はうちもなじみの漁師さんから仕入れています。店の近くに勝浦川があるので、新鮮な鮎を提供することができるんですよ」。

 ▲お店に入ってすぐ目に飛び込む水槽で泳ぐ天然の鮎。どことなく凛々しい顔つきです。
▲お店に入ってすぐ目に飛び込む水槽で泳ぐ天然の鮎。どことなく凛々しい顔つきです。

鮎の美味しさを存分に楽しむため必要なのが鮮度。
『ゆたか屋』さんでは、釣りたてをその日のうちに仕入れます。
名人であるだけでなく、漁師さんが釣った魚を専用の入れ物に入れて川で元気に泳がせつつお腹の苔を出す方法をとる漁師さんとのみ契約しているのだとか。「そうしないと、鮮度が落ちてお客様に提供できるものにならないんです」。

原さんいわく「鮎には3回旬があるんです」。
時期によってそのときどきの美味しさを楽しめるのが特徴です。

7月から9月中旬にかけて獲れる鮎は「成魚(せいぎょ)」と呼ばれています。
体も大きくなり、料理人が「豪快な味わい」と太鼓判を押すほど脂が乗って絶品!

9月から漁期が終わる10月中旬までは「落鮎(おち鮎)」と言われます。皮も骨もしっかりとしていて、締まった身が美味と称されます。珍しい子持ち鮎も登場しはじめます。

『ゆたか屋』さんでは、天然の鮎を使った料理がずらりとそろいます。

   ▲「鮎料理 松コース」6900円(税別)。甘露煮前菜からぞうすいまで鮎尽くし!
▲「鮎料理 松コース」6900円(税別)。甘露煮前菜からぞうすいまで鮎尽くし!

旨みをあますことなく味わえる「塩焼き」。
骨まで柔らかい「甘露煮」。
自家製合わせ味噌の香ばしさがたまらない「味噌焼き」。
鮮度の良さが物を言う「背ごし」。
どれも鮎のおいしさを味わい尽くせる逸品ぞろい!

一通り味わいたいなら、ぜひコース料理を。

ゆったりとした空間で、旬の味をお楽しみあれ。

コースはもちろん、単品でのオーダーも可能です。

こちらは持ち帰りでも人気の「鮎の姿寿司」。

鮮度抜群の鮎にゆず酢のさわやかな酸味を加えた逸品です。

「鮎のほか、岩牡蠣や鱧など夏の味覚も提供しています。ぜひ季節の味を楽しんでください」と原さん。

日本ならではの夏の味覚。
この季節だけのお楽しみをご賞味くださいね。

天然鮎料理 季節料理 ゆたか屋
徳島県徳島市勝占町下敷地1
TEL.088-669-0972
営/11:00~15:00(14:30ラストオーダー)、17:00~22:00(21:00ラストオーダー)
休/水曜(8/16~18は休)
席/80席
P/20台
HP/https://yutaka-ya.net/