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次代に伝える、阿波晩茶

次代に伝える、阿波晩茶

徳島県の山間部で古くから飲まれる「阿波晩茶」
番茶と書かれることもあるが、番茶とは使用する茶葉や製法が異なる、世界的にも珍しい乳酸菌で発酵させる「後発酵茶」
新芽を刈り取って作られる他のお茶と違って、夏の暑い時期にしっかりとした厚みの出た葉を摘み取って作られます。
それぞれの農家が代々自家用として伝えられたことで、生産者によって風味が違うところも特徴のひとつ。
消費の減少から生産量が少なってきている今、次の世代に阿波晩茶を残そうと、楽しみながら阿波晩茶を伝える活動を取材した。

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上勝阿波晩茶

上勝阿波晩茶

徳島市内から1時間ほど、勝浦川上流にある上勝町では、
昔から茶畑を持つ農家が家庭用に阿波晩茶を作ってきました。
釜茹でした茶葉を樽の中で発酵させる過程が阿波晩茶の特徴で、
漬け込む期間は、2週間から一ヶ月。
各家庭によって発酵させる時間の長さに違いがあり、
出来上がるお茶の味と香りにバラエティがあります。

今回は徳島文理大学の人間生活学科の生徒がフィールドワークとして
上勝町を訪れ、阿波晩茶の味の違いを楽しみました。

しのぶちゃんの晩茶屋

しのぶちゃんの晩茶屋

京都から上勝町に移住してきた「しのぶちゃん」こと八木直子さんが
お気に入りの上勝阿波晩茶を学生たちに紹介。
阿波晩茶の歴史、作り方、普及活動などを説明したのち
一種類ずつ阿波晩茶を淹れました。
ほとんどの生徒さんは阿波晩茶初体験。
独特の香りをたてる淹れたての阿波晩茶を恐る恐るすすります。

阿波晩茶の特徴である酸味が抑えられた、上品な味のするお茶からのスタート。
口々に美味しいとの反応。
フルーツの香りや、爽やかな香りを楽しんでいます。

徐々に個性的な味のするお茶にチャレンジ。
上勝の大地の香りがドカンとやってくるお茶。
雑味のない、クリアな味わいのもの。
発酵香が極めて強い、ザ・阿波晩茶。
ときに漬物茶と呼ばれる阿波晩茶だけあって、
漬物の浅漬け、古漬けの差に似た、しっかりとした違いを感じられます。
それぞれの晩茶の特徴を書き留め、好みの阿波晩茶を探ります。
自分に合った味を見つけることも阿波晩茶を楽しむ醍醐味です。

全世代のためのお茶

全世代のためのお茶

阿波晩茶はカフェインが少ないため乳幼児から妊婦、ご年配の方まで飲用できます。
最近の研究では、30種類近い乳酸菌が含まれる阿波晩茶は血糖値を抑えたり、整腸作用があると言われています。また、抗アレルギーや花粉症などに効能があると、様々な研究者により紹介されています。
毎日常飲するお茶として、健康の面からももっと普及してほしい阿波晩茶。
茶摘みから袋詰まで、ほとんどが手作業で行われる阿波晩茶は味も成分も優しさにあふれているのです。

上勝阿波晩茶協会

上勝阿波晩茶協会

阿波晩茶は乳酸菌を使った独自の発酵技法だけでなく、古くからこのお茶と深く結びついた地元の人々の暮らしと文化が評価され、2021年3月に日本の重要無形民俗文化財に指定されました。

上勝町では阿波晩茶を後世に残すために、2018年に一般社団法人上勝阿波晩茶協会を発足。

「上勝阿波晩茶を未来につなごうプロジェクト」として様々なイベント・活動を行っています。
その中でも特に興味深い企画が「桶オーナー制度」。
阿波晩茶は茶葉を収穫した後、ゆでて、擦って、桶に漬け込んで乳酸発酵させた後、天日干しをして製品になるのですが、その桶単位でのオーナーを集めるのが桶オーナー制度。
数パターンのプランがありますが、オーナー自らが茶の葉を収穫し、茹で作業、擦り作業などを地元のスタッフと共に行うプランが人気を集めています。

昔ながらの伝統製法を守りながら晩茶を作り、文化継承の役割を町外の方で担う素晴らしい企画。
カゴ編みや樽づくりなどのオプションもあり、自分のオリジナル阿波晩茶を作れるまたとない機会になっています。

「究極の手作りの味」を次代につなげる活動が盛り上がっています。

しのぶちゃんの晩茶屋
https://shinobuchan.shop/

一般社団法人 上勝阿波晩茶協会
https://r.goope.jp/k3k2awabancha/t_706929