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1番からじゃなくても大丈夫!
手軽に始める徳島お遍路旅

徒歩で約45日間、約1,400キロに及ぶ道のり。
これは寺院巡礼の旅「お遍路」の全行程です。
寺院巡礼というと難しいイメージを抱いてしまいますが、実は今、「お遍路」はもう熱心な参拝者のものだけではありません。
四国の自然や歴史を感じながら旅をしたり、健康のために巡礼したり、さまざまな目的の人々が気軽に「お遍路さん」をしています。「お遍路」を通して、徳島県をはじめとする四国の魅力を感じることができるのです。
なんだかお遍路したくてうずうずしてきましたね。
お遍路初心者でも簡単に挑戦できる、お遍路の魅力を紹介します。
そもそもお遍路って?

「お遍路」は、約1200年前に弘法大師が歩いたという「四国八十八カ所霊場」(四国に88ヶ所あるお寺)をお参りして巡るというものです。すべてを巡礼することで煩悩が取り除かれ、ご利益があるといわれています。
巡り方に決まりはありませんが、徳島にある第1番札所「霊山寺」から番号順にめぐるのが一般的です。しかし、近年では期間や区間を分けて、週末や休日に回る気軽な「お遍路」も人気となっています。
また、移動手段も徒歩に限らず、自転車やバスなどを使っても立派な「お遍路」。さらに、金剛杖、袈裟、白衣、菅笠、頭陀袋といったお遍路用品を身に着けるイメージが強いですが、カジュアルな服装であっても弘法大師様への敬いの心を持っていれば問題ありません。
お遍路に必要な道具を揃えよう

カジュアルな服装でお遍路を楽しむ方が増えている一方で、本格的なスタイルだと道中で「お遍路さん」として受け入れられ、地元の方々と触れ合う機会が生まれることも。
本格的な装備が気になる方にお勧めしたいのが阿波市にある、こちらのお店。

四国八十八カ所第10番札所「切幡寺」の参道に佇む、創業130年超の巡拝用品専門店「スモトリ屋浅野総本店」。豊富な品揃えと手頃な価格で「お遍路さん」を支え続けてきた老舗です。
白衣や金剛杖、笠や数珠、そして袈裟を簡略化したカラフルな輪袈裟など、お遍路に必要なアイテムがずらりと並び、初めての「お遍路さん」にもベテランにも安心です。
さらに、外国人のお遍路さんが安心して巡礼できるよう、英語でのお接待や道案内も行っています。
四国の巡礼文化と温かいおもてなしを感じられる、旅の途中にぜひ立ち寄りたいお店です。

■スモトリ屋浅野総本店
徳島県阿波市市場町切幡字観音173
営業時間:7:30~17:30
定休日:正月三が日 ※そのほか、不定休あり
WEB:https://www.sumotoriya.com/
実際に札所を巡ってみよう
第7番札所「十楽寺」

お遍路用品に身を包んだら、お遍路に出掛けましょう。
札所の中にはフォトジェニックなスポットも多数あり、仏さまの聖域に足を踏み入れるとされている山門(仁王門)も特徴的な場所が多いです。
その中でも、こちらの四国霊場第7番札所「十楽寺」は特に重厚な作りの龍宮城を思わせる朱塗りの鐘楼門(しょうろうもん)が印象的となっています。「十楽寺」の名は、弘法大師が「人々が8つの苦難から解放され、10の光明と喜びを得られるように」と願いを込めて名付けられたそうです。
また、「十楽寺」は縁結びのご利益でも有名。お祀りされている愛染明王は、恋愛成就はもちろん、仕事や人間関係などさまざまな縁を結んでくれるとされています。境内にある「遍照殿」には2つの入り口がありますが、左右で役割が異なり、良縁を願うなら左側、縁切りを願うなら右側の入り口から入るのが習わしです。

さらに、ここには少し珍しいおみくじも。「傘みくじ」はその名の通り傘の形をしており、開くと運勢が書かれています。ご縁を願いながら、運勢を占ってみるのも楽しいかもしれません。

■十楽寺
徳島県阿波市土成町高尾字法教田58
WEB:https://jyuurakuji.com/
「お遍路さん」のうれしい味方
遍路小屋
四国八十八ヶ所を巡る「お遍路さん」たちの休憩スポット、それが「遍路小屋」。地域の人々が、巡礼者たちを応援する気持ちで作った優しい空間です。
遍路小屋は全部で89ありますが、今回はその中の3つの遍路小屋を紹介します
●空海庵・切幡(阿波市)
遍路小屋では珍しい2階建て!ソーラー発電で照明が灯り、夜も安心して過ごせます。
■徳島県阿波市市場町大野島新ノ池

●川島(吉野川市)
川島潜水橋のたもとにあり、第11番札所・藤井寺へ向かう道中の一息スポット。橋の風景も楽しめます。
■徳島県吉野川市川島町川島

●眉山(徳島市)
阿波おどり会館前にある遍路小屋。阿波女踊りの笠をイメージした屋根が特徴的で、徳島らしい雰囲気たっぷり!
■徳島県徳島市 新町橋2丁目12

徳島にはこういった遍路小屋が随所で見られます。旅の途中で見つけたら、ちょっと休んで地元の温かさを感じてみませんか?
「お遍路」に欠かせない宿
森本屋

長い「お遍路」を行うには、疲れをしっかり癒やせるお宿の存在が不可欠。宿の中には、札所にほど近く多くの「お遍路さん」が利用しているところも多くありますので「お遍路さん」へのサポート体制もばっちりです。
こちらの第5番札所・地蔵寺の目の前に佇む「森本屋」もその一つ。「森本屋」は、今のオーナーで5代目を迎える、長い歴史を持つ民宿で、100年以上前に建てられた古民家を活かして改修された建物は、当時の梁や趣ある造りがそのまま残り、どこか懐かしさを感じます。
玄関先には水琴窟があり、共用スペースの丸窓からは、その風情を覗くことも。旅の疲れを癒しながら、ゆっくりと時を感じる滞在と温かいもてなしを楽しんでみてはいかがでしょうか?

■森本屋
徳島県板野郡板野町羅漢字野神60-1
WEB:https://www.morimoto-tokushima.com/
いかがでしたか?これまで漠然と難しく感じていた「お遍路」も少し身近に、気負わず挑戦できるものとお分かりいただけたのではないでしょうか。
まもなく暖かくなり、歩くのが気持ちが良い季節がやってきます。
今年は徳島で「お遍路」に挑戦してみませんか?